危ない「漢方のお医者さん」との戦いの記録

「専門家」が誰も助けてくれなかったので、独学・自分の体で命をかけて漢方薬の人体実験した記録。書いてあるとおりかなり危ない状況だったので、安易にまねしないでね。

2015年07月

動物園関係者及び野生生物関係者に言わせると、
「犀角は、アジアでは万能薬として人気がある。しかし、犀角の効能は、科学的に証明されていない。だから、犀角を薬にするのは誤りである。」
だそうな。
これ、私の交友関係の事情もあって、結構聞くんだよね。

こういった動物園関係者その他の主張は、いろいろ突っ込みどこがあるんだけど、普段は面倒なので黙ってる私。

これ、昔書いたような気がしないでも無いけれど、もう1回書いてみるね。

中医学では、犀角は、涼血の最重要生薬。
決して、万能薬ではない。
これを投与されて、かえってひどい状態になるだろう人も、容易に想像つくしね。

それから、中医学的に考えられている効能が、全部科学で証明されているわけじゃない。
解明への道の出発点にいる感じだと思うよ、今。

多分だけど、中薬として使用される場合の犀角の作用機序を、科学的に解明しようとした人が、いないんだと思う。(文献があれば教えてください)
科学的に効果があるかどうか実証したいなら、中医学的に血熱と診断される患者群に投与してみればいい。
科学をもとに発展してきている現代において、東洋医学を信じるかどうかは信条の問題もあるから、他人に強制できないけどさ。でも、実証実験しないで、犀角の効能を眉唾扱いするのは、それこそ「科学的ではない」。
でしょ?

で、問題になっているのは、犀角の原基であるクロサイやシロサイなどが、絶滅に瀕している動物であること。
絶滅危惧種の利用を抑えるために、動物園なんかでのインタープリテーション時に冒頭の言葉を言ってのは分かるんだけど、だからといって、根拠に乏しい主張をしていいかというと、それは違うよね。

で、もう1方、犀角を利用する側の問題も大きい。
まず、少なくとも国内では(他のアジア圏などのことは知らん)、犀角を利用するような病態を把握できる専門家が、非常に少ないこと。
なので、同時に、犀角の代用品が存在することを知っている人ももっと少ないだろうことが、問題。

「犀角などが必要な営血熱について診断・治療できる人があまりいない=患者が困ってる」状態なので、「万能薬!」と噂で聞けば、飛びつく人もいるだろな~なんて、思う。

本来、わざわざそんな希少で高価なものを使わなくたって、経済動物から採れる安価な水牛角なんかで代用できるのにさ。
ま、犀角と水牛角は、完全に一緒の効能というわけじゃないみたいだけど、それでも、ちゃんと弁証施治すれば、私の経験から言っても、どうにかなると思うよ。
なので、「サイの乱獲については中医学が悪い!」と言われても、それは違うでしょ、と思う。

犀角代用品について、言及された日本語の書物が乏しいってことも問題で。
ま、病態の認識に乏しいから余計にそういう書物を買う人も少なくて、出版の採算がとりにくいってのもあるだろな。
かろうじて、「中医臨床のための温病学」が出されたけど、これも、犀角と水牛角については書かれて無い。
「中医臨床のための中薬学」にはあるから、ちゃんと引いてみる人じゃないと、認識できないというかね。

ともかく。
犀角の乱用に伴うサイの乱獲の根本原因としては、犀角の代用品をきちんと使えない「専門家」、及び、「サイの角は万能薬」という根拠の無い噂に踊らされる利用者が悪い、って話。

このブログで、何度も何度も温病学について言及してきた理由のもっとも大きなものは、もちろん自分の健康上の理由。
でも、隠れたもうひとつの理由は、角目当ての乱獲によって絶滅の危機に瀕しているサイsp.の保護。

温病学を、勉強して欲しい。
温病学の書籍も、現実的に利用できるものを、出して欲しい。
患者のためにも、絶滅の危機に瀕したサイのためにも。

と、切に思う今日この頃でした。

中医学を勉強するに当たっての、私が利用している本を書いておきます。



《 初心者向け 》

オススメは、
東京カルチャーセンターの薬膳アドバイザー養成講座のテキスト

受講に3万円ぐらいかかるので、その費用対効果には疑問が生じますが、テキストは分かりやすいです。テキスト単体が、たまにオークションにも出てたりします。

薬膳も方剤も、基本は一緒なので、まずここから。

平易な言葉で中医学の基本が書かれているのに、一般の初心者向け中医学の本とは違って、はしょりすぎたりしておらず、満遍なく、かつ、少しですが禁忌に関することにも触れられているのがいいですね。
他の初心者向け中医学の本は、内容が薄すぎたり偏っていたり「これは○○にいい」ばっかりだったりと、私が「この本はいいな!」と思うものにはあたったことがありません。

ただし、私自身は分かりやすいと思っていても、人に読んでみてもらったら、「分からない」と言われます。
私が解説したうえで読む分にはいいようですが、単体だと、難しいのかもしれません。
これに書かれていることは私はイヤと言うほど経験しているのですんなり理解できたのかもしれず、そういう経験のあるなしも、理解できるかどうかにかかわってくるかと。
ですが、いずれにしてもこれがクリアできないと、中医学を学べないかと。

薬膳の食材に関する辞典は、

○「薬膳素材辞典 健康に役立つ食薬の知識」
掲載された食材の種数はすくないですが、解説がある程度の分量書かれています。

○「現代の食卓に生かす食物性味表」
掲載食材の種数は多く、証別の対応食材リストがあるので、便利。
ただ、一つ一つの食材の解説は少ないです。  
巻末に、代表的な中医学用語の解説があるので、これも嬉しい。
中医学用語のより詳しい解説が必要なら、中医学の用語辞典が出ていますので探してください。

私は普通の食材でも、中医学的に私の証に合わない食材を食べると一気に体調が悪くなります。
この辺を利用して、誤った食材を使った食事で体調を悪くなるのを防いでる感じですね。




《 基本 》

・・・とはいっても、かなり難易度は高いですが・・・
初心者向けのテキストで、ある程度中医学用語が分かるようになってからじゃないと、厳しいかも。

○「中医臨床のための中薬学」
これは、何をさておき必須の本というか生薬辞典です。
中医学の本はどれも高価ですが、これは、高くとも絶対に手元に無いと、どうにもならないですね。
これには生薬の禁忌が書かれていますので、なんらかの好ましくない作用が出たとき対応するヒントになります。これをもとに、生薬を買ったり生薬量を決めたりしています。とはいっても、書かれている生薬量は、日本の医療用漢方薬よりはるかに多いので、まずは、私は医療用漢方薬に含まれる生薬量以下から始めるようにして、マックス量をこれで確認する感じです。
ちなみに、これら神戸中医学研究会の出版物はハズレが見あたらないので安心できます。

○「中医学入門」神戸中医学研究会(1981)
「中医学入門」はいくつも出ていますが、この昔の本は、詳細が書いてあって分かりやすいです。
現在出版されている改定された「中医学入門」は情報量がなんだか少なくなってしまっていて、私にはちょっと・・・・です。
ただ、この版が分かりやすいというのは「医学を学んだ人間には」と言う限定がつくかも。
なので、医学系じゃない人には、現在の中医学入門のほうがよいのかもしれません。
 私はこういった本に出てくる方剤や生薬を、「中医臨床のための生薬学」で引きながら読んで、方剤の構成・加減や合方を学んでいます。
 方剤学における基本的な方剤の組み立てに関する本は出ていますが、私は持っていません。
読んでみたら、あまりに基本的だったので、買うのをやめた覚えが。
しかし方剤の組み立てを基礎から学ぶには、そういう本を探したほうがよいかも。
 絶版になった本や手に入りづらい本のみならず、中医学系の本は、私はまず図書館で取り寄せて利用しています。で、必要そうだったら買う、と言う流れ。こういう本は高価なので、何もかも一度には買えないのでね。薬も買わなきゃいけないし。
でも、いずれにしても、手元に無いと困る本は結構出てくるので、お金がバンバン出て行くことに変わりなし。泣

○「中医臨床のための舌診と脈診」
舌診は、中医学では必須。舌がカラーで出ています。
(他人に見せると「気持ち悪い!!」と言われます。苦笑)
が、解説がそっけないので、これも、他の中医学の本と首っ引きになります。
舌の状態の写真が載った本は他にも出ているようなので、探してみてください。

○中医処方解説 神戸中医学研究会(昭和57年)
方剤の加減の方向性なども書いてあるので、複雑化した証に対応する時には、これはオススメです。
ただ、これも、「医学を学んだ人間には」の限定がつくかも。

○「中医臨床のための方剤学」
こちらは古典に書かれている方剤そのものの解説で、臨床応用での加減のヒントは少ないので、合方・加減方が必須だった私は、あまり利用していません。
が、方剤自体を理解したいならいいかと。



《 応用 》 

今は、こっちをよく見ていますが、他の人にはどうでしょうね・・・

○「中医臨床のための温病学入門」
これは、私の命綱。
日本漢方などでは対応できない熱証の概念や処方の段階が書かれています。
この本のおかげで、私は生還しました。
ただ、基本的な中医学の知識が頭に入っていないと利用できません。
たとえば、頻繁に出てくる犀角は、まず手に入らない&非常に高価なので、水牛角で代用しなければなりませんが(この二つは使用量も異なる)、そういうことも書いてありません。
また、単純に本に書かれていることを当てはめようとしても、書かれているのは古典的内容で、複雑化した難しい熱証などとはちょっと状況が違うので(入門書だもんね・・・)、これを応用するには、大きなリスクを負う覚悟が要るかと。
でも、私はやってよかった~

他には
「中医臨床講座」(1)~(3) 
「症状による中医診断と治療」上下巻
「中医病因病機学」
「症例から学ぶ中医婦人科」
などなど

他にもいくつか持ってますが、私が中心的に読んでる本は、このあたりかと。

参考になれば幸いです。




あ、そうだ。
医療従事者とか、日本漢方を少しかじってる人なんかに、こういった中医学系の本を紹介すると、
「読んだよ」
といいながら、的外れな論理を展開して、議論?をふっかけてくる方々が、けっこういらっしゃいます。
なので過去何度もめんどくさい目に。。。泣
筋道立てて素人にも分かりやすいように反論するって、体力気力をえらく消耗するんだもん。
講座とか自己満足で無い限り、やりたくない。

そういう場合、字を目で追っただけで、読んでない。というか、理解して無いってことだよね。
ま、これらの本は、内容が内容だけに、最初はそうなるよね。。。とは思うが、だからといって、私に責任転嫁しないで欲しいっす。
ということで、これらを読んで、私のケースが中医学的に誤っているなら指摘していただきたいが、理解しない(あえて出来ないとは書かない)状態でいろいろ文句つけてくる人には対応しません。
ご了承ください。

ただ、その場合、中医学云々自己治療云々というより、マウンティングというか承認欲求のターゲットにされてるクサいので、それも同時に全力で遠慮させていただきます。




目下使用しているのは、地骨皮・知母・地黄・麦門冬・玄参・サンリョウ・牡丹皮・麦芽・枳穀・牡蠣。これに、西洋人参。

石膏が抜けた!!(ので、一緒に米も抜けた)

はぁぁ~
よかったよかった。
今まで使った生薬の中で、石膏が一番大量だった。

現在石膏などを使用すると、頭がふらふらするようになったので、気を消耗してるんだな、ということがはっきり分かる。
なので、清熱剤は、生津のジコッピと知母を残し、あとは撤退。

それは、そのつど様子見て、時々加えるかもしれないけど、ともかく、常に中心的に使うものじゃなくなった。

温病学的に言うと、営血熱に続き気分の熱が抜けて、臓腑の熱が残ってる感じかな。今。

石膏を抜いてみたら、方剤調合したときの総生薬量が、少ない少ない。
ついでに、方剤に使う生薬の種類も、えらく少なくなってきた。

なので。
なんか、順番に、外側の証から取れてるぞ、複雑怪奇な証が単純化してるぞ、ということが、調剤のたびに実感できる。

それに、ちょっと違うな、という方剤を飲んじゃったとしても、体の反応が遅くなった。
鈍感になってきつつある。

世間には、
「漢方薬は長く飲まないと効かない/1~2回漢方薬飲んだぐらいで合う合わないが分かるわけ無い」
なんて、わけの分からないことを言う人(専門家も)がいるけど、これ、はっきり言って、証が複雑じゃない・重症じゃないラッキーな人(及び重症例に対応できない「専門家」)のたわごとだ。
でも、そういう状態に体が近づいてきてるって事だよね。

生還したぞ!!!!
って。

おかげで、毎月の出費も、結構抑えられるようになってきたしね。
その実、これが一番ほっとしてる。

でも、ちょっと気を抜いて弁証施治をおろそかにしてると、今までもそうだったけど、えらい目に会う可能性も多々あるので、しっかり気を引き締めなきゃね。
うん。



目下使用しているのは、石膏・牡蠣・地骨皮・知母・地黄・麦門冬・玄参・サンリョウ・牡丹皮・麦芽・枳穀・甘草・白米。

大きく変わったのが、水牛角を除いたこと。
おおお~!!!!
営血の熱が、取れてきたんだ!!!!

とはいっても、えらい目に遭ったんだけど。

ちょっと前から、もう水牛角はいらんだろうな~と言う状況に。
でも、やめるとすぐに元の木阿弥になるので、体が慣れるまで続けようかいと、やってた。

そんな中、一昨日の深夜、猛烈な腹の痛みで目が覚めた。
腹が張って、激痛。
家族が、救急車を呼ぼうか?と言ったほど。

私はそれを断って、ガスピタンで当座をしのぎ、方剤を作り変えた。

これ、多分と言うか確実に、水牛角他清熱剤で、耗気したんだ。
補気剤をあまり使ってなかったし。
夏なんで、薄もので寝てて気がつくと腹出して寝てて、冷えによって一気に腸が動かなくなっちゃったんだと思う。

で、あわてて水牛角を抜いて頓服的に西洋人参入れて、かつ電気アンカ抱いて寝て、そんで大丈夫になったけど・・・
2時間ぐらいはうんうん言ってたな。

結果的には、そのときから水牛角を抜くことができたんだけどね。
タイミングを誤ると、こんなことに。
ああ、怖かった・・・
(しかも、あの状態で病院に行ったとしても、たいした治療はできないはず。ああ、これも恐ろしい・・・)


水牛角は犀角の代用品で、目下手に入る中で、もっとも強く熱を冷ます生薬のひとつ。
それが必要なほど熱がこもってたんだけど(営血熱ってやつね)、そういう病態の概念も水牛角を使った製品も、今、日本には無いので、日本漢方やエキス剤なんぞぜんぜん役に立たなかったんだけどさ。
そういう状態なので、エキス剤しか使ってない中医学の先生んとこ行っても、無理~!!!と思う。

それと、営血に入った熱は、清熱解毒の生薬で代用できると思ってるらしいのが、「日本漢方の専門家」及び「医療用エキス剤でどんな病態でも対応OK と勘違いしてる中医学の似非専門家」の非常に怖いところ。
代用できないからっ!!!
んなもん使ったら余計傷陰&余計に熱が入るからっ!!!

この辺にちゃんと対応できるかどうかが、温病学をやってるかどうかの違いなんだろうな。

あ、ちなみに、水牛角も、傷津するみたい。
なので、同時の補陰、あるいは、ある程度いらなくなったら、抜いてしっかり補陰しないとだめなんだけどさ。

はぁ~
しっかし・・・
自分で調剤して使うって、使い方を誤る&タイミングを見誤ると、こんな風にえらい目に遭うんだよね・・・・。

自己治療なんて、こんな風に大変な危険をはらんでいるので、他人に、安易に勧めることができる方法じゃないってことは、確か。

でも、私を誰も助けてくれないから、自分でやるしかない。


はぁ・・・





目下、なんだかんだ忙しい。
薬草の観察会やったり、単発の薬膳講座やったり、植物調べたり・・・
動いてて、オーバーワークして、パタンと倒れるって言ういつものパターンになるんだろうな・・・
反省しているつもりなんだけど、実際は反省して無いところがどうにも。

それはともかく。(いいのか?)

今、植物の分類が、大きく変わる節目になっている。

ちょっと前までは、新エングラー体系やクロンキスト体系といって、外部形態、つまり、見た目で、植物を分類してまとめてたんだよね。
でも、2009年に、遺伝子レベルで分類するAPG体系と言うものが出て、今後はそちらが主となる。

なので、オオイヌノフグリがオオバコの仲間になったり、木のニワトコが小さな草のレンプクソウの仲間に入ったり、と、訳分からん。

で、目下、覚えた科がぜんぜん役に立たない&新しい分類を覚えられないので、観察会なんかやっても、ごにょごよとごまかしているなさけない私。

さて、漢方関連で問題になるのは、原基植物の科が、ぜんぜん違ってくるってこと。
特に補陰の生薬の原基植物は旧ユリ科のものが結構含まれてたんだけど、ユリ科自体が大規模に再編成されて、以前ユリ科だったものが別の分類群になってしまったものが非常に多い。

なので、旧ユリ科にあったものでは、たとえば、イズイの原基のアマドコロはキジカクシ科、ネギやニンニクなどネギ属はヒガンバナ科と、もう、何がなにやら。
かろうじて、百合の原基であるオニユリなどが、ユリ科に残っている。
だから、ユリ科というものが、だいぶ縮小してしまったわけ。

で。
犬猫が、結構中毒するんだよね、旧ユリ科植物で。
だから、以前は、「ユリ科植物を使った生薬の入った漢方薬、特に補陰剤には、注意しましょう!」みたいなことを言えたんだけど、今は・・・・どうしてくれよう・・・

ま、漢方の世界にAPG分類が入ってくるのは、だいぶ先のことだろうから(それはそれで問題)、「中医臨床のための中薬学」などなど原基植物に言及した書籍も、とーーーーーーぶん再編されないだろうし、「旧ユリ科は気をつけて~」
でいいのかなぁ???



↑このページのトップヘ