危ない「漢方のお医者さん」との戦いの記録

「専門家」が誰も助けてくれなかったので、独学・自分の体で命をかけて漢方薬の人体実験した記録。書いてあるとおりかなり危ない状況だったので、安易にまねしないでね。

2013年02月

ためしてガッテンを見てたら(毎回見てはぼやいてるから見なきゃいいのに、家族がこのチャンネルつけてるから見ちゃうんだこれが)、今回のテーマは、「そのヒト振りが料理を変える!魔法の白い粉」と題して、ゼラチンを紹介してた。
で、声言語学の先生が個人的にやってる美肌効果を狙った健康法(あくまでも個人の感想ですとか何とか但し書きが書いてあったな)を冒頭で紹介していた。
ゼラチン≒コラーゲンであるからして、ゼラチンを使えば、最近はやりのコラーゲンを手軽に摂れるし、ゼラチンを料理に一振りするとあっというまに美味しくなるよ~なんて。

さて。
中医学的には、このゼラチンのモトとなるものは牛やブタなんかの皮や骨なんだから、そう考えると、ゼラチン(というかコラーゲン)って、補血・補陰のアキョウの近しい親類、って言っていいものだろうな、と以前から思ってた。
コラーゲンで肌がきれいになるってのも当然、血虚で肌が荒れてる場合にはそれは効くだろうなぁ、って。
実際自分が使った感じもそうだしね。

で。
コラーゲン≒アキョウであるからして、血虚・陰虚となりやすい中高年の女性がコラーゲン好きなのは、当然だろうな、とも思ってた。

ただし。
全ての女性・・というか全ての人にアキョウ(というかコラーゲン)がよいかというと、絶対にそうじゃない。
アキョウは補血剤であるから、当然、他の補血剤と同様、とり過ぎると血を滞らせてしまう。つまり、血瘀が悪化するわけだ。多分、コラーゲンも同様。
血瘀はどういうときに存在してるかというと、腫瘍や動脈硬化、心疾患、脳卒中、外傷など。女性生殖器の疾患では、子宮筋腫や子宮内膜症、腺筋症なんかもそう。
だから・・・もともとおもいっきり血瘀の人がゼラチン健康法やっちゃったら・・・悪化しちゃうかもよ!?どうすんのよ!、と、今回も突っ込みを入れたくなっちゃったわけ。
番組冒頭でゼラチン健康法をやってた人は、「この人絶対虚証でしょ!絶対血虚でしょ!」という外見をしていたから、そのゼラチン健康法が体にあってるんだろうな、と思ったし。


でも、ここでも何度も書いているとおり、「血瘀があったら補血剤を使っちゃいけない」ってわけでは決してないけど。血が足りなくて血の滞りが起こってる人には、補血剤は必須。でしょ?
当然血の滞りをとる活血化瘀剤も一緒に使わなきゃいけない(もしくは段階踏んで使えるようにしなきゃいけない)けどさ。
そういや昔、当帰芍薬散で子宮筋腫が巨大化した症例が取りざたされて、「当帰は筋腫を大きくするよ!子宮筋腫がある人は使っちゃ駄目だよ!」なんてアホな極論が出たりしたなぁ・・・。
子宮筋腫とか内膜症とかなんとかは、血の滞りによって起こった症状だから、そりゃ、単純な血瘀で子宮筋腫が起こってる人が、当帰とかアキョウとかで単純に血を補っちゃうと、そりゃ、血が余計に滞って悪化しちゃうよ。
ってこと。

ちなみに番組では、
「効果を認める報告もありますが、動物を対象にした実験段階にあり、ヒトでの検証は十分ではありません。」
みたいな事はちゃんと言ってたけれど。


そういやコラーゲンと活血化瘀剤といえば、以前、映画館に行ったら、「コラーゲン入りドリンク」なるものを数種類売っていて、その種類として、活血化瘀作用のあるグレープフルーツとかクランベリーとかブルーベリーとかといった種類があって、あぁ、これ、うまく出来たドリンクだなぁ、と、妙に感心したなぁ。


多分、明日、スーパーとかからゼラチンが消えるんだろうなぁ・・・



ちなみに。
最近なにかと忙しいので更新が滞りがちです。
引越しするので、またしばらく更新しないかもです。





先日、人から、「薬膳教室に行くのをやめた」という話を聞いた。
(あ、私の薬膳教室のことじゃないからね。)
私が薬膳的なことを普段からぐだぐだ言っていたので、それで薬膳に興味を持ち、自宅近くの薬膳教室へ行くことにした人だった。

せっかく勉強をはじめて最初は面白がっていたのに、なんで辞めることにしたかというと、高いお金を払ってるにもかかわらず、その講座の時間の半分は先生の自慢話だったので、イヤになったらしい。

これ、なんか、切ないよ。
腹立たしいよ。

私自身、こういう人、結構見てきた。
そういう「先生」をイヤになる気持ち、すごく分かる。
残念だけど。
私だって、いろいろ遍歴してきたからね。

西洋医学なら、ある程度スタンダードな基準があるから、特に大きな病院なんかでは自分で行った治療が駄目でも他の医師の治療で治った、なんて情報が入りやすいから、天狗になりにくいのかも。
西洋医学の医師とかでもこういうタイプの人結構いるけどさ。

でも、それにしたって、漢方系(中医学系含む)の人では、この傾向が激しい気がする。
多分、今の日本でスタンダードな治療じゃない分、治療者がより孤立しがちだから、自分の成功例ばっかりに目が言っちゃうんだろうな。
特に、臨床に出ていない人、西洋医学を学んだ経験の無い人では。
多分、件の薬膳講座の講師も、そうだと思う。


以前にも書いたけれど、治療上、臨床経験のあるなし、重症例の治療経験のあるなしって、かなり重要。
臨床に出たことのある人なら、そうそうあからさまな自慢話なんて、できないよ。
そりゃ臨床に出てる人だって、たとえば、「こういうケースではこの治療法をすれば良くなるケースが多い」なんてことは把握してるから、自負は絶対あるけどさ。
そうでなけりゃ臨床なんてやってらんないし。
でも、その分、その治療法でよくならなかった人もいるってのも、必ず把握してるんだよ。
そもそも、それも把握できない状態なら、臨床なんてやるべきじゃないしね。
いや、あからさまな自慢話する人もいるけど、でも、漢方系の人でのこういう自慢タイプ出現率よりはまだ低いと思われ。

で、なんで「孤立した漢方系の人」が、こんなに「自慢話」するようになっちゃうかっていうと、なんか分かる気がするの。
特に専門家に対して「それじゃ治りませんでした!」なんてほとんど言わない日本人の気質やなんかを考えると、「孤立した治療者」って、「治療失敗例」をなかなか把握できないんだよね。
フィードバックがないから、治療の問題点があっても、反省も改善もしないで停滞しちゃう、と。
で、臨床に出ていない・医学を学んでいない人では、とくに、自分の数少ない成功した軽症例だけから判断しちゃうため、余計にこの傾向が生じる、と。

で、結果、そういう人がやってる薬膳教室は自慢話で終始する、ということなんだろうな。


でもね。
治療者であれば(この際、日本の法的な面はおいておいて、薬膳に関わる人も含めてこう言っちゃうけれど)、「治して当然」なんだよ。
と同時に、手に負えない症例があって当然でもあるんだよ。
こう考えると、自慢にも何にもならないんだよね。
それを踏まえた上で、治療に対する真摯な態度って、絶対必要だよ。


・・・と、自分自身言い聞かせる。
ともするとこういう傾向に陥りやすいっての、自分が一番良く分かってるかも・・・恥ずかしながら。
頑張ろう・・・


ここんとこ、ずっと風邪を引いてた。
出先で漢方薬等の選択肢が無い中、最初は板藍茶で防いできたのだけれど、どうも途中から様子がおかしくなり(つれあいの濃厚接触による感染だから仕方ないけど・・・)、板藍茶の在庫も切れて、とうとう寝込んだ。
熱は微熱程度なのだけれど、夜間の咳がひどくて、全然寝られない状態。

で。
何日かして、ようやく板藍根の在庫のある場所で寝込んでたんだけど(自宅じゃありません)、板藍根の1日使用量のマックスである15gを使っても、あまり効かない。

私自身、ちょっと試してみたかったので、しばらく板藍茶とか菊花とか薄荷とかなんとかの、その場で手に入るもので調整してたんだけれど、経過が長すぎ。
咳で寝られないために、体力が低下するばっかり。
症状なんかから考えて、マイコプラズマ感染症を疑いはじめた。
「あれ、もしかして、この感染症には板藍根は全く効かないのか?」ということにも気付き始めた。

結局発咳開始から6日程度経ったところで帰宅し(いや、飛行機で耳抜きできなくて、ホントに中耳とかが痛かった~!!!)、自宅にクラリスロマイシンが手元に5日分あったのでそれを服用。結構効いた。
で、それを飲み終わった頃にもまだ咳が出ていたので病院を受診し、ジスロマック錠を中心に薬を出してもらい、それから1週間程度たって、ようやく落ち着いてきたところ。

結局、検査ではマイコプラズマは陰性だったので、別の細菌感染症だったみたいなんだけれど、いや、経過が長くて、ホント大変だった。(今もちょっと動くと咳が出たりするけれど、ま、ほとんどいいかな)

しかし、いずれにせよ、「風邪」と総称される細菌感染症の中に、板藍根が効かない場合があるってことがはっきりしたわけでさ。

当初は、たしかに板藍根でちょっと防御してるかな、という手ごたえはあったけれど、それでも、抗生物質のほうが、ずっとずっとはるかによかった。
多分当初は、板藍根の抗細菌作用というよりは、免疫調整能と、抗炎症作用が、効いていたのだと思う。


世間では、あたかも板藍根が風邪の万能薬のように言われることがあるけれど、やっぱり、抗生物質同様、抗菌スペクトルが限られているのは間違いない。
やっぱり、ケースバイケースで、きちんと経過を見て対応しないとだめだよなぁ、と、実感したね。

・・・しかし、セフェム系の抗生物質だったら結構手元にあったのに、限られた資源しかない系統の抗生物質を使い切ってしまって、現在、非常な悲しみにくれている・・・
ちっ。

なぜなら。

現在、うちで飼っているハムスターの1頭が、目に炎症を起こして、ファーストチョイスの板藍根駄目、セフェム系駄目・アンピシリン系駄目だった・・・・さて、どうしてくれよう・・・という中で、二次感染予防にアンピシリン系投与しつつ、サルファ剤の目薬投与でなんとか回復中。(目薬は、さした後に目をかきむしったりすることがあるのでなるべくさしたくなかったけど、何とか我慢してくれたから今回はセーフ)
しかし・・・今のところ、これ以上抗生物質様作用を持つ薬剤は手持ちにないぞ・・・
いざとなったら、ふつーに観念して動物病院で他の抗生物質もらって来いってか???
めんどくさい・・・



漢方の世界でよく言われるのが、「体に合った漢方薬や食品は美味しく感じる」というもの。

自分の経験からして、大筋では、確かにそうだと思う。
でも、全部が全部そうじゃない、というのも分かってきた。
それは、美味しさを感じる道筋を考えると、納得できるはず。



最近放送されてた、『放送大学 食と健康(‘12) 第6回「食品の嗜好成分」』で、よくまとまってたので、引用すると、おいしさを決定する因子というのは、以下のようになる、とのこと。



食品因子(香り・色・形状・光沢・    
味・テクスチャー・咀嚼音・温度)    背景要因(食経験・食情報・食習慣・食文化)  
      ↓                      ↓
五感(味覚・視覚・嗅覚・触覚・聴覚)→高次脳(印象・記憶・先入観)⇒おいしさ
       ↑            ↑    ↑
空間環境(温度・音・咀嚼)  心理状態・生理状態



つまり、体に合う、というのは、体の状態(生理状態)だけに関わるのであって、おいしさを感じるまでの一つの要因に過ぎないため、いくら体に合っていたとしても他の要因がマイナスとして高次脳で判断されると、「おいしくない」と感じる恐れがある、ということね。


たとえば、最近増えているという味覚が異常な若年層の人々。子供の頃に味覚の経験が少ないなどの要因で生じるらしいのだけど、彼らが「おいしい」と感じるものだけを食べさせていたら、栄養不足に陥ってしまう可能性があるでしょ? 
最近、若い人で体に合っているはずの漢方薬をまずいと感じる人が結構いるってのを風のうわさに聞いたけれど、そういうことなのかも。

また、脂肪たっぷりの食材が好きな人が、好きなもんばっかり食べてたら余計体を壊すっての、誰が考えても自明の理なわけで。
で、そういう人って、いくら体に良くても、油の少ない料理を、「まずい」と感じてしまうことだって、よくあることでしょ?

で、ついでにわたし。
わたしは現在、鉄欠乏。
だから、鉄を多く含む食品をとらなければならないんだけど・・・
でも、体に必要なはずの鉄分を多く含む食品は、現在も苦手。

なんでかというと、たとえば、ひじきやほうれん草なんか、食べたって、消化が悪くて腸を素通りするし、レバー類は温性なので、体に熱がこもってるときには摂りにくい。
鉄自体が体を温めてしまうので、熱のある私の体にはきついわけ。
でも、鉄を取らなきゃ、体の状態が悪くなるっての、分かってるからね。
無理にでも摂らなきゃいけない。

なので、食品だけでどうにかしようとすると、ものすごく高度なワザを使って組み合わせたりしないと、なかなか鉄をちゃんととりきれない。
結局、鉄剤(+鉄剤の副作用を抑える漢方薬)に頼ってるけどさ。


ま、そんなこんなで、漢方薬や食品のチョイスを味覚(多分嗅覚とかも)だけに頼っていると、間違った「治療」になってしまう可能性があるので、気をつけなきゃいけないよなぁ・・・と思う今日この頃。

やっぱ、弁証施治が基本だよなぁ・・・



不幸があって、しばらく出かけておりました。

で、一緒にいた家族が大風邪を引いておりまして、わたしは板藍茶で必死に防いでいましたが、そのうち手持ちの板藍茶が切れて結局風邪をもらってしまって出先で寝込み(何のために行ったんだか・・・)、ようやく帰ってきた現在も風邪を引きずっています。

出先での、漢方薬・生薬なしでの体調管理って難しいわ・・・


ということで、もうちょっと良くなったら、その顛末をまたご報告します。

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