危ない「漢方のお医者さん」との戦いの記録

「専門家」が誰も助けてくれなかったので、独学・自分の体で命をかけて漢方薬の人体実験した記録。書いてあるとおりかなり危ない状況だったので、安易にまねしないでね。

2012年03月

ほとんどの中医学の教科書には、歯痕は、気虚の表れだ、と書いてある。
でも、どうも、そうとも限らないみたい、ってことが、このたび身をもって分かったよ。


私には、舌診に興味を持ち出して見始めた頃から、舌に歯の跡がある。
で、もともと気虚がひどかったから、さもありなん、と思ってた。
でも、どうも、歯痕には、2種類のタイプがあるみたい、ってのも、そのうち気付いた。
見た目からして違うし、それぞれが現れる体調も違うみたいだし。


気虚が前面に出てる時の歯痕は、やわらかい粘土にそのまま歯型をとったような、ぽわんとした感じの痕。
でも、月経前などに特に顕著になるタイプの歯痕は、例えるなら、下手な人が作ったギョウザの、ひだの部分みたいな感じ。
見た目もっとギザギザして、痕の中でもとがった部分はより鋭角な感じ。
なんとなく縁のほうが膨らんでるけれど、気虚のときの歯痕よりは、明らかに痕のついた部分の厚さは薄い。

しばらくは、気虚がひどかったから、気付かなかったんだけれど、大分気虚が落ち着いて、普段はあまり前者のタイプの歯痕が目立たなくなってきてから、後者のタイプの歯痕が顕著になってきた。
で、もちろん、なんかの折に、気虚がぶり返すと、前者のタイプの歯痕になるし。

だから、ずっと気になっていて、この違いは何だろう、と思っていた。
今までは、そういう時は、月経前が多かったから、月経前で陰血が足りなくなってて、その影響で気虚が亢進してるのかなぁ??なんて考えたりもしたけれど、どうも違うクサイ。


で、このたびようやく、「症状による中医診断と治療 上巻」の中に、答えを見つけた。
これによると、「舌の辺縁が凹凸不整で鋸歯状のものは、肝の気血鬱滞である。」そうな。
2ページにわたる歯痕の解説の中で、これ一行だったけれど、あー、そうそう、それそれっ!!!って、思ったね。
だって、このタイプの歯痕が顕著な時って、なんか胸が詰まってて、胸脇部が痛くて、胸が張ってたり、舌がちょっと紫がかってたり、舌の裏の静脈がちょっと目立ってたり、ってことには気付いていたから。
んで、確かに、このたび、疏肝がきちんとなされるようになって、後者のタイプの歯痕も、ちょっと改善。

もし気虚による歯痕だとしたら、気を消耗する川玉金を増量した時点で、その歯痕が悪化してるはずだもん。


あー、なんかすっきり。
もし全然別の考えもしなかった要因で出て来てるんだったら、どうしようかと思ってたぁ。
これでゆっくり寝られるわ・・・

・・って、いや、不眠の原因をほとんど取り除いたから、もうすっかりぐっすり寝てるけどさ。


うちにはジャンガリアンハムスターが常に複数頭いる。
もともと動物がものすごく好きなので、本当はもっと大きい、イヌとか猫とかがほしいんだけど、転勤族なもんで、毛皮モノはハムスターが精一杯。

やつらは寿命が短いので、自然と、何らかの疾患があるハムをうちで抱えていることが多くなる。
ハムは結構ぎりぎりまで頑張るタイプの動物なので、いきなりすとんと死ぬこともある。
私の場合、なんか炎症が起こってたりする程度なら、うちで抗生物質他を使って治したりしているが、恥ずかしながら、気づいた時には手遅れ、と言うことも。

そんなことを代々のハムで繰り返し、そのうちに中医学にはまった私。
で、気付いたこと。
人や犬猫ほど顕著には分からないけれど、ハムにも、ちゃんと証があるってこと。

あ、こいつは水ぶとり気虚タイプだな、とか、イライラしてるけどもしかして、肝気がうまくめぐってない?とか、いろいろ。

で、一番顕著に分かるのが、血虚。
手に乗せると、足が冷えてることなどから。

じゃあ、これを補正してやれば、もしかして、少し長生きするかも?

とりあえず、今飼ってる1頭が中年にさしかかって足が冷えてきたので、こういう場合、使えるのは、補血・活血作用のあるプルーンだと考え。
ハムも干しプルーン好きだしね。
(小動物にはこれが非常に重要。嫌がるものを与えるのはほんとに大変)
で、1日に朝晩、耳掻き1杯分程度づつプルーンを与えてたら、数日で足もすっかり暖まって、なんとなく毛ヅヤがよくなった。
ハムに薬膳。
うーむ。できるもんだな。

ただし、プルーンはお腹がゆるくなることがあるので、気をつけなきゃいけないけど。
ハムで下痢したら、それこそイッパツ昇天かも。


ちなみに、医師・薬剤師などのブログで、薬を自分の飼ってる動物に使いました、なんて書いてあったりすることがあるけれど、獣医師でないものによる動物の病気の診断や処方、つまり動物に対しての診療行為は、獣医師法および獣医療法違反。ブログに書くと、問題だよ。
(個人的には、面白い症例もあって興味深かったりもするから、ほんとはこんなこと言いたくはないけれど)
だから、上記の薬の処方なんかについては、獣医師じゃない人は真似しないでね。

・・・ということからして、中医学の知識は多少あってもどんなに人が困ってても、動物には処方できても人に処方できない私の気持ちが、そういった医師・薬剤師の方にもちょっとは分かるんでは?
へへっ


ある意味面白いので、JAFMATEの5ページ目に連載中の、「美食同源」に注目中。
4月号が手元に届いたので、読んでみたら、今度は、「教えて!ストレス解消に良い食べ物」。
で、案の定、の内容。

今度は、「(ストレス解消に)いちばんいいのは、体を温めること」だそうな。
あほかっ!って感じ。

ストレスを受けると、基本、体は熱を帯びる傾向にある。
ストレスを受けると、肝の働きが悪くなり、肝気鬱結から、肝火や心火に移行する。
熱証であれば、体を温めたら、悪化するよ。
こういう場合は、疏肝しつつ、体を冷やさなきゃいけないのに。

あと、「漢方で『陽性食品』という、見た目が赤や黒、オレンジ色をした食べ物は体を温めてくれます。・・・・白身より赤身の魚、えび、かに、いか、たこなど」なんて書いてある。
ぶっとびました。
そんなん、「漢方」では聞いたことないんですけど。日本漢方のことよく知らんけど。
これ、漢方じゃなくて、マクロビオティックでないの?
体を温める食品として、「かに」なんかもいれてあるし。
薬膳学的には、「かに」は、寒性の食品なのに。
これ、本当に日本漢方で言ってるなら、日本漢方本当に大丈夫か?って思っちゃうよ。

ただ、この監修の医学博士は、以前、某みの○○○が司会やってた「おも○っきりテレビ」なんかに出てしゃべってた人のよう。
なので、偏った言い方をする人なんだろうな、とは思うし、漢方をちゃんと勉強した人でもなさそう。
マスメディアに出るのが好きなんだろうな。
ただ、こういう情報を鵜呑みにする人が出ると、非常に怖い。
なので、今後も連載が続くなら、ぼつぼつ反論書いていくかな。


私は、ストレスがかかると、疏肝作用のある温性のジャスミン(ジャスミンティーじゃなくて単体)に、辛涼解表で肝の熱をとってくれる菊花をブレンドしてトータルとして涼性にし、急須に入れてお茶にして飲んでいる。ジャスミンはハーブだし、菊花は、商品によって2類の医薬品だったり健康食品だったりするけれど、少なくとも、健康食品のものであれば、うちに来たストレスかかってそうなお客さんに出しても、法的に大丈夫だよね。
市販のジャスミンティーは、多くの場合、涼性のウーロン茶をブレンドしてあるので、ジャスミンの含有量が少なければ、体を温めることはない。ジャスミンティーは神経を沈める作用があるので、使えるならいいかも。
ただ、私の場合、もっと強く熱を抑えたい場合が多いので菊花の方がいいことと、ウーロン茶は気道を乾燥させすぎるきらいがある(私は肺陰も少々少なかったりするから)ので、ジャスミンティーは、たまにしか使わない。
あと、他のアイテムとしては、疏肝理気作用のあるきんかん。
私はきんかんのジャムとか、はちみつ漬けを毎年作るので、ストレスがかかると、そういうものを引っ張り出して、お茶請けにしたり。
または、疏肝作用のある平性のローマンカモミールに、清熱作用のあるジャーマンカモミールをブレンドしたものでもいいかも・・・とは思ってるけれど、ジャーマンカモミールが手元にないので、試したことはない。

今から春(ここはまだまだ雪景色だけど)、肝に負担がかかってくる時期なので、必要なときはこうやって疏肝して、肝を養生してやらねば。


ただ、私がここで書いたこういうものが、すべてのストレス下にある人に適するかと言うと、そうじゃない。決して。
肝血虚・陰虚が原因で鬱結してる人とか、脾に影響が出て消化管障害が起きてる人とか、その他もろもろの状態の人には、適さない、もしくは使うにしてもほかの生薬・食材と一緒に使わなければならない場合がある。

やっぱ、弁証施治・弁証施膳が大前提。


今の私はと言うと、川玉金を増量したことでうまく疏肝されるようになって、右肩の経穴の肩井に、瞑眩が出た。
いつもの、吹き出物。
私の場合、そのときの証に適した方剤を的確に使えると、それで改善した症状に対応する経穴に吹き出物ができるのが面白い。
そうやってこれまで、少しづつ、幾重にも重なった証をひっぺがして、今、ようやく、その辺の食材などを使った薬膳でも、効果が出るようになってきた。
症状が重かったときは、薬効の弱い食材なんて使っても、何の効果も感じられなかったのにね。

面白いなぁ。

党参を使い始めて、体がいろいろ変わってきた。

現在使っているのは、ツムラ医療用猪苓湯、及び、当帰・芍薬・茯芩・牡蠣・蓮肉・旱連草・女貞子・百合・板藍根・山梔子・黄柏・黄芩・党参・木通・牛膝・牡丹皮・川玉金・桂枝・木香・青蒿・地骨皮・龍胆・香附子・金銭草・甘草。

一見代わり映えがしない面子のようだけれど、党参が入ったことで、分量が大分変わった。
そうして、体も変わった。

党参で、補血がよくなされるようになったので、当帰を3/4に減量。
それでも、かなり心肝の血虚が改善されたので、血を消耗する活血化瘀剤である川玉金を増量することができ、結果、心熱がほぼ取れ、疏肝がきちんとなされ、胸脇痛や乳房の痛み、胸苦しさやそれなりの経穴の反応がなくなった。よって、アブナイ柴胡は使用しなくてもよくなった。
で、舌はほとんど刺点が消えた。

ただ、心肝の熱が下がって体全体の熱も下がったことで、局部の冷えは悪化。
つまり、10年ぐらい前の下腹部の術痕の周辺。
これは、しばらくこの生薬の組み合わせで、心肝の熱が取れ切ってから、考えるべきだよね。
だから、それまでは、局部に作用できるお灸でどうにかするよ。

あと、脾に負担をかける生薬が多くて、今もふとしたことでお腹がゆるくなってガスがたまるから、まだまだ脾虚も油断できない。舌も、湿り気味だしね。
補脾の生薬って、心肝の熱を悪化させるものが結構あるから、これも、現在の証が1枚取れてからの、次の課題。で、体が冷えてきたことでまたお腹がゆるくなり始めてるから、これも気をつけないと。
だから、当初麦門冬を使う予定だったけれど、百合よりも脾に負担をかけるので、使わないで百合のままで行くことにした。


さて。
今までの経過を見てきて、面白いのが、補薬をある程度使って補われてくると、今度は「つまり」が出てくること。
たとえば、血虚で血を補ってきてある程度になると、今度は、血瘀が生じて活血化瘀剤が必要になる。
気虚を補ってゆくと、今度は気滞が現れる。
肝が虚してるのを補ってゆくと、今度は疏肝が必要になる。

「虚してる」って、何かが足りない状態だけれど、なにかが足りなくてうまく流れていないと機能も失われてくるから(廃用萎縮みたいなもんか?)、まず補ってやってから、「つまり」を解消してやる必要があるんだろうな。
「虚」と「つまり」を同時に解消できるようにうまく漢方薬等で調整できれば一番いいけど、でも、基本の順番としては、こうであることは間違いない。

ただし、血虚や気虚などが重度でも、「つまり」が生じるから、この見分けはすんごく大事。
虚してつまってんのに、いきなり「つまり」だけ解消しようとしても、機械でたとえるなら、爆発炎上しちゃうよね。

あ、以前、私がその辺の「漢方のお医者さん」たちに思いっきり痛い目にあったのは、これが原因だぁ。
虚しまくってた挙句の「つまり」が前面に出てたもんで、「漢方のお医者さん」たちは、そこばっかりに目が行って、「つまり」を解消する薬を中心に処方されたりなんかしたもんで、そんで爆発炎上、余計に体調を悪くしちゃってたんだな。
そうだそうだ。
なんか、こう考えると、結構単純な気がする。



でも、このことだけから考えても、ほんっとに、弁証施治って、大事だよね。
日本漢方にはこの概念がないから、私は痛い目にあってきたんだろうな。


今日、NHKのあさイチでまた漢方特集やってるけど、アレで出て来た日本漢方系の病院、私は怖くて受診できない。
あれで治る程度の状態の人ならいいけどね。
重症なら、日本漢方系の専門家で治せないなら、それでも漢方薬を使うなら、適切な弁証施治のできる専門家を受診するべきだよ。


最近漢方の番組が結構あるけれど、ああいう番組に出てくるのは日本漢方系の医師ばかりだから、私にとってのメリットは、あまりない。
それどころか、安易な漢方処方が増えるんじゃないか、漢方薬の乱用で資源が枯渇しちゃうんじゃないかと、と危惧が増えるばっかり。
はぁ・・・

・・・あ、メリットが一つあったな。「私が絶対受診しちゃいけない病院」が分かること。ははっ



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今月号のJAFから送られてくるJAFMATEという雑誌の5ページに、『教えて!「不眠」によい食べ物』と題して、医学博士のお勧めが食材が紹介されてた。
彼の一押しが、なんと、生姜と紫蘇の葉。
生姜とか紫蘇は辛温の食材だから、気虚・陽虚・実寒なんかのせいで冷えて不眠の人にはいいかもね。
でも、陰虚・実熱で、熱があって不眠の人には悪化させる食材。
しかも彼は、「不眠症という人のほとんどは冷え性です」と断言してる。
私の周囲の不眠症の人って、熱がこもってる人、結構いるんですけど。私もそうだったし。

なんか、適当で不正確な情報垂れ流してるなぁ、って思う。


でも、これは、まだいい・・様な気がする。
病院なんかで適当な漢方薬を処方されることに比べれば。

周囲を見回すと、とんでもないチョイスの漢方薬を病院や薬局から処方されてる人ってのは結構いる。
そういった話を聞いてると、かといって、私自身「そんなの飲んでたらアブナイよ」とまでは言えるかもしれないけれど、周囲に適切な専門家はいないし、かといって代替策を提示できるわけじゃない。
そんな話を聞いていると、専門家然として適当な漢方薬を処方してしまう漢方素人の医師にふつふつと怒りが湧き上がってきて、精神衛生上よろしくないので、病院で処方された漢方薬の話しはなるべく聞かないことにしている。
・・・とはいうものの、どうしても耳に入ってきてしまうもので。

たとえば、以前にもここで書いた身内の話。

先日、私が風邪を引いた時に薬箱の中をがさがさと探して見つけた麻黄湯は、以前うちのつれあいがそのへんの病院でもらってきたもの。当時のつれあいはインフルエンザを疑われるような状態だったけれど、熱がバンバン出てて悪寒なんか全然なく、汗が出まくりの状態だったから、麻黄湯の適応であるわけがなく。
これは、病院で、「インフルエンザ⇒麻黄湯」という、証ではなく、病名で漢方薬を処方された結果。
熱でふらふらのつれあいが「内科で処方されたから」と麻黄湯を飲もうとするのを、止めさせた。
だから、うちにそのまま手付かずの麻黄湯があったわけ。

私の亡き父は、事故で怪我をしたが、痛みやひきつりがあるからと、大学病院の整形外科で、ツムラの芍薬甘草湯を、まるまる1か月分もぽんっと処方された。
後に同じ大学病院の漢方外来では、陰虚火旺の状態が前面に出てる状態で、小柴胡湯と五芩散のみの処方。
なんて恐ろしい。
だから、当然これらも、却下。(この一件で、大学病院でもほんっとに信用できないなぁ、ということが分かり。)

これらは、身内だから、「止めてっ!!!」って強く言えて、危ないところで阻止できた。
けれど、身内じゃない知り合いには、そんなこと、強くいえなかったりする。
私、資格ないし。

アレルギーがあって、それを治そうと、薬局で小青竜湯をすすめられ、1年も飲み続けた人とか。
小青竜湯なんて、症状を抑える方剤で、体質改善なんかしないから、そんなものだけを1年も飲み続けたって、意味がないのに。

不眠とか寝汗とかのぼせとか熱感とか色々な症状があって、どー考えても、陰虚火旺状態なのに、さらにそれを悪化させる柴胡剤出されてずっと飲んでる人とか。(ってか、柴胡剤飲んでるから陰虚火旺状態になったのかも)
肝臓も悪くなってきてるみたい。
この人には、これはあまりにも、ということで、その漢方薬のチョイスは危ないよ、とは言ってみた。
だけれど、なにぶん、ここは、医療過疎地。
医療における選択肢は非常に乏しく、よって、その漢方薬を処方してる医師のご機嫌を損ねても困るということで、多分そのまま処方されてるんじゃなかろうか。

ほかにも、本当にいろいろな人が、体質に合わない漢方薬で、効かなかったり、体を悪くしたりしているのを聞く。

私は、ただ、あの人たちが、漢方薬で体が悪くなっていくのを、見てるしかないの?
私は、どうすればいいんだろう?

この現状では、現実的・直接的には、私ができることって、あまりない気がする。

だから、ときどき、薬膳の初歩の講座やって、中医学の初歩を知ってもらうことと、とりあえず、こういうブログなんかで、書いてくしかないのかなぁ・・・。


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