危ない「漢方のお医者さん」との戦いの記録

「専門家」が誰も助けてくれなかったので、独学・自分の体で命をかけて漢方薬の人体実験した記録。書いてあるとおりかなり危ない状況だったので、安易にまねしないでね。

2010年09月

先日、また薬草観察会をしまして。
その参加者の方から、「生命の貯蓄体操」なるものの存在を教えていただき、次の回に参加してみませんか、とお誘いいただく。

が・・・かなり躊躇。
教えてくださった方には本当に申し訳ないけれど、はっきりいって、そのネーミングはアヤシイ。
んで、私は怪しげなものには近づかないようにはしているし・・・。

・・だけれど、会場が近所だったこともあって、「怖いもの見たさ」で見学に行き、ちょっとためしにさせていただくことに。


いざ聞いてみれば、東洋医学的にある程度論理的。
(私が慣れ親しんでる中医学が元と言うわけじゃないし、講師の方は医療の専門家でもないので、正直よくわからんとこもあるけど)
んで、宗教色もない。
この体操は、経絡と呼吸を意識しながら運動して経絡を「導引」する(気の流れをよくする?)方法ということみたい。


んで、やってみると、確かに、効く。
各経絡を意識した運動で、確かに、経絡上のコリ(その経絡上の各経穴のコリ)が取れるのがわかる。
それまで、自己流やヨガなどを自分で勉強して、コリをどうにかしようとしていたけれど、結局どうにもならなくて、お灸に頼ってた。
それなのに、この体操で
「ああ、なるほど。お灸に頼っていたこの部分のコリの解消は、こうすればできるのか。」
と感じることが多々。
私は、目下、腎経などの特定の部位が非常に悪いのだけれど、その経絡を目標とした運動をすると、確かに、その経絡上のコリが軽減される。
目からうろこの気分。
「あー。こうすればよかったんだ。」って。
(それでもお灸は止められないけどね。)

しかし、虚や実に重度に傾いている人には、向かないと言うのが実感。
やり終わると、汗をかくほどだし。
それなりに消耗する。
数ヶ月前までの私が、この運動をすると、気や血を消耗して、十中八九寝込んでたはず。

この「経絡運動」の目的は、「気を流す」こと。
健康であれば、各経絡に沿って体中を流れる気はスムースに流れているんだけれど、病気になると、流れなくなっている。それを、運動で、うまく流そうと言うわけ。
でも。
「気を流す」のは良いことだけれど、気を流せば気を消耗してしまうわけで、気が少なくなってる人にとっては、かなり負担になると思われ。
虚の人だけじゃなくて、実熱が貯まりこんでいる人が、下手に体を動かすと、さらに悪化させてしまうし。
(実際、ちょっと実熱がぶり返した。湯液を調整してどうにかしたけど。)

東洋医学的に言う「病気」と「健康」のあいだの、健康よりの人にとってはいいと思うけれど、「病気」の人は、気をつけてしないと、場合によっては悪化するかも・・・と思ったね。
(それをもうちょっと施術者が理解した方がいいんでないかなぁ、なんて思うけど。)

かつ、邪が深いと、こんな体操ぐらいでは、どうにもならない場合もあるってことも、非常に良くわかった。
同じような体操をして、以前は全然こりは解消されなかったけれど、大分改善してきた今なら、こりも解消されやすくなってるって言うことが本当にわかるもの。


で、とりあえず、現在の私は、この体操に耐えられるぐらい回復してきているから、ちょっと続けてみようかな、と思う。
どっかで、お灸とか湯液とかに頼らないでいいような体は作りたいし。


ただ、全面的に施術者にお任せするんじゃなくて、
「瀉さなきゃいけない胆経を補の方向に施術したら補になっちゃうからそれは止めてぇぇぇ!!」
などと言って、顰蹙を買いながら・・・だけど。


現在のところ、陰虚火旺の実熱が大分抑えられてきて、気虚が前面に出てきた気配がしてきた。
それ以外での、一番の問題は、心にこもった熱。
その原因は、心の血虚・・というより陰虚が主なんだろうけど。
プラス、実熱が抑えられてきたため、脾虚による下痢がちっとぶりかえし。
これもどうにかしなきゃ。

で、とりあえず、心陰虚と気虚に対する薬を配合しようと考える。


でも、朝鮮人参は、陰虚火旺の影響が残っているため、これを使うと一挙に実熱がぶり返してしまう。(このばか高いものせっかく買ったのに!)
山薬はすでに使っているけれど、作用は弱く、心には効果がない。

ということで、 西洋人参を使用することにする。
(セリ科の食材のキャロットじゃなく、ウコギ科の朝鮮人参の仲間である植物由来の生薬です。)
これは、心・肺・腎を帰経とする補気・補陰薬で朝鮮人参と違って性が寒なので、今回の目的に合致する。
きっと、これを使っても、からだがあったまりすぎたりしないはず。

・・と考えて、西洋人参単味のエキス剤を買う。
これもまた朝鮮人参同様えらく高価で、もし体に合わなくて使わないとなると非常にもったいない。
だから、500g入りの生薬を買うよりは長期保存が可能なエキス剤を選択。

で、今までの湯液に加えて使ってみると・・・やっぱり、からだが温まってしまう。
舌が、真っ赤になって、頭がちょっとぼうっとする。
気の温く作用は、やっぱりすごい。
性がどうだろうと、表証が取れきってない時に補剤を使うと、表証が悪化するってのは、やっぱりこれまで何度も経験してきたように、本当だね。

ただし、ぶり返したといっても、大分実熱が落ち着いてきた今なので、減らしていた黄芩などをちょっと増量して西洋人参の量も減らせば、どうにかなる気配。
で、西洋人参を使うと、舌全体は赤味が増すけれど、舌先の刺点は少なくなるから、心陰虚は改善されているみたい。
だから、実熱をうまく抑えられるように、これから生薬量を調整していかなければ。


でも、どうにかなるでしょう。きっと。
これまでよりは、調整は簡単だな。
複雑だった証も大分単純化してきたような気がするし・・・というか、自分の証をつかめてきたってことなのかなぁ。
人から見れば、まだまだ十分複雑な証か・・・。


先日とらせていただいた漢方アンケートの締め切りが過ぎ、昨日、全てのアンケートが私書箱から手元に届きました。漢方治療という特殊な事例のアンケートに関わらず、29名と言うたくさんの方から返信をいただき、また、内容も詳細にかかれていらっしゃる方が多くて、本当にありがたいです。
そして同時に、励ましのお言葉もたくさんいただきました。
ご協力くださった皆様に、本当に感謝です。
結果は、会誌上にてご報告させていただきます。しばらくお待ちくださいませ。


ということで、ここのところアンケートのとりまとめなどで、パソコンの前に座りっぱなし。

そんなことやっててふと気付くと、頚椎性神経根症(C6)がぶり返しそうな気配がしてきたので、ペースを落とし、頚部の負荷運動と病変部のお灸を強化。
(といいつつ、ブログ書いてるのって、どうよ・・・)


なので、湯液とお灸とピップエレキバン等を、もう本当にフルに活用中。


気付くと、お灸の箇所って、首と仙椎部の病変部と、心下痞硬の部分近辺の経穴、気海に血海、太けい、勇泉は基本で、これに、その時々の症状によって、肝・胆・心包経以外のいくつかの経穴を使用。
で、このお灸しちゃいけない瀉すべき経穴のいくつかには、ピップエレキバンか円皮鍼がはりついてる。

ここで疑問なのは、鍼灸やってる方の中に、鍼や鍼灸の箇所は、少なければ少ないほどいい、1箇所でいい、みたいなことを言う人がいること。
それをそのまま鵜呑みにしたんだかで、そんなにやって大丈夫?見たいな事を私に聞く人もいるし。


でも、これだけやんないと効かないんだもん。
いろいろやってみたけど、これ以上、減らせないよ。

単純な証だったら1箇所でいいかもしれないけど、私みたいにおかしくなってる臓器・経絡が多岐に渡って多種多様な症状が出てる人間にとっては、それじゃ、全然対応できないんですけど。
(この状態の私で、どっか1箇所でどうにかなる経穴があるものなら教えて欲しいです。)


多くの鍼灸院でされてるような、「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」、方式は、私にはぜんぜんだめだし、下手すりゃ悪化するのが目に見えてるんだけど、かといって、少なすぎるのもなぁ。


使う経穴が少ないってのを誇るんじゃなくて、適切な経穴を使える、ってことを誇るべきなんじゃないの?なんて思う今日この頃。



もちろん私はプロじゃないから、本当に適切な経穴を使えてるかというとそうじゃないと思うんだけどさ。



ここんとこ、調子がいいので、つい更新さぼりぎみ。
すみません。

でも、証は変化しているので、いつもなんか考えていることに変わりなし。

現在使用している方剤の構成生薬は、以前と変わらず、お灸とピップエレキバンに、せんじ薬として、甘草・芍薬・カンレンソウ・女貞子・牡蠣・黄芩・梔子・黄柏・青蒿・蓮肉・山薬・茯芩・キコク・薄荷・・・・といいたいところだけれど、最近これに、さらにハトムギを足している。

ハトムギ、つまりヨクイニンは、どうも、今の私にとって、重要な佐薬(主要な薬の効果を目的の箇所まで引っ張る薬)だったみたい。

これを使うのと使わないのでは、全然違う。
消化管の調子が良くなるので、他の薬がよく利くようになる。

私は、(肝腎陰虚・心血虚などは別として)脾気虚と同時に、肺気虚だか痰飲伏肺だか肝火犯肺だかなんだかしらんが(多分二次的に生じたそれら全部が混じってる気がしてしょうがないが)、肺にも影響が出てる。
今までは、どうせ二次的なもんだし、症状は酷くないし、黄耆(とか白朮)なんかは目下とりあえず陰虚火旺のために使えないから、肺の治療は二の次三の次で良いか~と、放置していた。
で、下痢をどうにかしようとして使ったハトムギは、脾と肺を帰経とするから、今の私には、結構良かったみたい。
飲んで1日目で、いきなり肌がちょっときれいになった気がしたし。
ただ、多分、もっと以前にハトムギを使おうとしたら、失敗していたに違いないと思う。

なんでかというと、ハトムギを使うと、他の薬が腎に良く利いて、下半身の血行が良くなり、相対的に上半身の血をとられて、上半身、特に心の血虚が酷くなってしまうから。

これ、もうちょっと前までだったら、一気に具合が悪くなって寝込んでたはず。
大分血虚が改善された今は、ちょっとだけ動悸がするぐらいで済むからいいけれど。
(それでも、動悸が気になるようなら、すぐにお灸して、補血するようにしてる。でも、このぐらいの動悸だったら、服用開始後時間が経てば慣れて改善するだろうってのは、今までの経験上、分かってるし。)


この現象って、駆瘀血剤とか、ピップエレキバンや円皮鍼なんかをある特定の経穴に張ったときでも、これ同じことが起きていたんだけれど、やっぱり、全身で血が全然足りないのに、いきなりどっかだけ血行を良くしようとすると、別の箇所に負担がかかってしまうんだね。


やっぱ、ハトムギ使うのは、ちょっとずつ改善してきた今でよかった、と思うよ。



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